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住みたい街ランキング常に上位の吉祥寺に吉祥寺がない理由

筑波大名誉教授、谷川彰英先生の大ヒットの『地名の由来』シリーズ、東京・江戸から「吉祥寺」の項をご紹介いたします! 

 そのほかにも、多くの寺院が江戸郊外に移されたのです。

 同時に、寺の門前にいた住人たちや浪人たちは武蔵野の原野に土地を与えられて、「吉祥寺」という村をつくりました。これが今日の吉祥寺の町の始まりです。

 吉祥寺駅から五分も歩くと五日市街道に出ます。

 これは昔ながらの街道筋ですが、当時は猪や狸との共存状態でした。

 吉祥寺は若者も年配の方々も楽しめる町として知られていますが、この五日市街道は、今でも歩いてみると、それなりの風情を楽しめる道すがらです。

 明治二二年(一八八九)、吉祥寺村は近隣の村々と合併して武蔵野村となり、昭和三年(一九二八)に武蔵野町、さらに昭和二二年(一九四七)に武蔵野市となりました。

 駒込に移された吉祥寺は旃檀林(せんだんりん)と名づけられて、大いに発展しましたた。旃檀林とは仏教で学校を意味し、ここには多いときは一〇〇〇人を超える僧が全国から集まって禅を学んだといいます。

 ところが、昭和二〇年(一九四五)の東京大空襲によって、山門と経堂を除いてことごとく焼失。本郷通りに面している山門は、さして大きくはないものの、享和二年(一八〇二)に再建された重厚なもので、経堂と並んで江戸の文化を伝えています。

明暦の大火で焼失してしまった江戸城本丸跡。(C)谷川彰英

東京・江戸地名の由来を歩く』より

 

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谷川 彰英

たにかわ あきひで

筑波大名誉教授

1945年長野県生まれ。ノンフィクション作家。東京教育大学(現・筑波大学)、同大学院博士課程修了。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。筑波大学教授、理事・副学長を歴任するも、退職と同時にノンフィクション作家に転身し、第二の人生を歩む。筑波大学名誉教授。日本地名研究所元所長。主な作品に、『京都 地名の由来を歩く』シリーズ(ベスト新書)(他に、江戸・東京、奈良、名古屋、信州編)、 『大阪「駅名」の謎』シリーズ(祥伝社黄金文庫)(他に、京都奈良、東京編)『戦国武将はなぜ その「地名」をつけたのか?』 (朝日新書)などがある。

 

 

 

 

 

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  • 谷川 彰英
  • 2014.09.26